東芝トライX2000

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東芝のBCLラジオ トライX2000

BCLラジオ東芝トライX2000

トライX … BCLラジオに興味を持っている人な ら東芝のBCLラジオの冠であることをすぐに思い出 すだろう。SONYや松下のBCLラジオに比べるとや や知名度も低く、出回った台数も少ないと察するが、 日本を代表する家電メーカ「東芝」が開発、販売した BCLラジオであり、SONYや松下の製品では味わえな い楽しさ、懐かしさを提供してくれる。

私自身も東芝のトライXに触れる機会は多くなく、 当時の雑誌やカタログから得た知識がほとんどだ。今 回そのトライXシリーズを実際に手にして操作する 機会に恵まれたのでTRYX2000を紹介する。

RP-2000FはトライXシリーズの最高峰のモデルであ る。それまで開発してきたトライXシリーズで培って きた技術や操作性などを盛り込んだ東芝のアナログ BCLラジオの集大成である。

●外観と特徴 : 正面から見るとやや平面的に感じるデザインである が、これは正面パネルにブラックヘアライン加工され た2mm厚のアルミパネルが取り付けられているため である。クーガやスカイセンサは全面が樹脂でできて いるのに対し、金属製のパネルを採用することでボデ ィエフェクト(操作する人の手や体が近付くことで周 波数が変動したり、受信感度が落ちるなどの症状)の 防止をするとともにライバル機との差別化に一役か っている。 東芝トライX2000の操作部 また、正面のダイアル類の保護も兼ねた、ボディ同色 のガードアームが正面パネル両サイドに取り付けら れている。このガードアームがマニア心をくすぐるア クセントにもなっている。 なお数あるダイアルのうち、バンドセレクタは右サイ ドパネルに設けられている。 東芝のTRYXはSONYのスカイセンサ5900 (ICF-5900)や松下のクーガ2200(RF-2200)など のBCLラジオと比較すると、周波数がMHz台から直 読できるスプレッドダイアルが備わっていることが 大きな違いである。 ただRP-2000Fのスプレッドダイアルは目盛で あふれている。慣れると意外とわかりやすい。 スカイセンサ5900、クーガ2200のスプレッドダイア ルはkHz台の数値が目盛られているため、周波数フィ ルムと一緒に見て実際の周波数を頭でイメージする 必要があったが、TRYX2000をはじめとするシリーズ のスプレッド目盛には、周波数がMHz台から目盛ら れている。目盛りとしては見難いようにも感じるが、 目的とする周波数を受信していることが一見してわ かる。 もちろんその代償としてスプレッドダイアルは数字 と目盛りが溢れ、前述のとおり見難いと感じることは 否めない。それでもその溢れる目盛りには工夫が凝ら されている。

  • 放送周波数帯は太いラインで書かれている
  • 1MHzステップのマーカ周波数は赤字で記されている
  • 75mと60mバンドは5kHz単位で直読、49m、41 m、31m、25m、19mバンドは10kHz単位で直読で きる目盛りが刻まれている

以上のようにBCLを楽しむのに十分なダイアルにな っている。

またロッドアンテナは前方後方へも動かすことので きる機構になっている。狭い本棚などにラジオを置い た場合など、前方へロッドアンテナを向けて伸ばすこ とができるのはありがたい。

後発でもあるRP-2000Fの売り出しコピーは「BCL革 命」である。その説明には 「海外短波受信にかたよりすぎた現在のBCLの傾向 を軌道修正」という一文がある。これは短波だけでな く、中波やFMでも遠距離放送を楽しむことができる 施策が施されていることを意味している。

これを実現しているのがシンプルな機構ではあるが、 指針調整ツマミ(DIAL ADJUST)である。中波は 20kHz、FMは200kHz単位で周波数フィルムに目盛 りが書き込まれているが、基準となるローカル放送局 を受信し、指針調整ツマミで周波数フィルムの周波数 に合わせることで、その近くの周波数を正確に受信す ることができる。

強力な放送局を受信し、それをパイロット信号として その近辺を受信する方法そのものは目新しくはなか ったが、その方法を発展させ周波数を正確に読むこと ができるようにしているこの機能は、短波帯のマーカ 機能と同じで、中波やFMでBCLを楽しむには大変 ありがたい機能である。

ラジオの操作が複雑であること自体が楽しいと感じ る人にはやや物足りないと感じるかもしれないが、純 粋にBCLを楽しむには素晴らしいBCLラジオである。

●実際に受信してみた : 実際に操作してみると、ある程度強力な放送局は簡単 に見つけられる。スプレッドダイアルの目盛りで受信 しようとする周波数を探すのに一瞬戸惑うが、マーカ を併用することでかなり正確な周波数で受信が可能 である。1MHzステップのマーカであるため、マーカ 周波数から離れたところでの誤差が少し気になるの で、より正確な周波数を知るには500kHzや100kHz ステップのマーカを併用すると良いかもしれない。

また回路方式が455kHzを中間周波数とするシングル スーパー方式であることからSW2、SW3バンドでの イメージのレベルがかなり高い。アンテナカプラやプ リセレクタ(同調回路を備えた高周波増幅器)を利用 することである程度は気にならなくなるが、マーカ信 号のイメージは減らないので間違えないようにする 必要がある。

スピーカがクーガやスカイセンサの100mmに対して、 TRYX2000は120mmとなっていることもあり、中波、 短波、FMとも低音から大変良好な音質である。のん びりと中波やFMでローカル放送を聞くのにも適して いる。

クーガ2200、スカイセンサ5900と比較

筆者はクーガ2200とスカイセンサ5900が特に気に 入った機種であり、おそらく同様の人も多いだろうと 察する。TRYX2000と前述2機種を並べて比較してみ た。 受信状況については結論からすると同じような状況 で優劣はつけ難い。さすがに3機種ともアナログBCL 機の集大成である。ただしクーガ2200は選択度を切 り替えるスイッチを入れることで混信が減り、一歩リ ードする。 操作性については素早く目的の周波数にたどりつく のはTRYX2000である。クーガ2200は500kHzと 125kHzの2つのマーカ操作で時間をとられる。スカ イセンサはマーカ操作後、スプレッドダイアルの目盛 の計算に少し時間を費やす。大きな時間差ではないが、 はじめて操作するとその差は顕著になりそうである。 機能や性能についてはやはり値段相応という結果に なってしまう。特にクーガ2200のチューニング操作 と周波数精度はとび抜けた感じがある。ただし中波や FMの周波数の読み取りについてはTRYX2000のキ ャッチコピー通り他の2機種からリードしている感が ある。 30年以上も昔に製造された機種で電気的な性能を比 較するのは再現性も低いので参考程度の見方と捉え てほしい。

内部を覗いてみた

TRYX2000は裏面のネジ4本を外すとカバーが簡単 に外せる。外して目に飛び込んでくるのは大きなプリ ント基板の部品装着面である。ほとんどの調整はこの 面から行う。ただし部品交換はプリント基板を取り外 して行う必要がある。また電源トランスからの配線は コネクタではなく、最近では見かけないラッピングワ イヤ(棒状の端子に専用の工具で単線を巻きつける) なので、外すのは容易だが元に戻す際は専用工具かは んだ付けの必要がありそうだ。

目立つ部品は特にないが、5cm角程度のシールドされ た回路が目に入る。「FU(Function Unit)」と刻印さ れた高周波回路部の一部である。

外観の清掃だけであれば正面パネルのツマミを手前 に引けば外せるので総合的にみるとメンテナンスは 比較的し易いラジオである。

●TRYX2000の主な仕様

  • 機種名:RP-2000F
  • 定価:28,900円
  • 大きさ:270W×285H×125D(mm)
  • 重さ:2.8kg(乾電池を含む)
  • 受信周波数:5バンド
    1. FM:76~90MHz
    2. MW:525~1605kHz
    3. SW1:1.6~4.5MHz
    4. SW2:4.5~13MHz
    5. SW3:13~30MHz
  • スピーカ:120mm
  • 使用半導体:1IC+1FET+23TR

※ 8項の使用半導体数はマイナーチェンジで変化し ている。